Quick Homepage Maker is easy, simple, pretty Website Building System

経過的加算ケーススタディ

経過的加算ケーススタディ

前回は、大卒者を例に「経過的加算」の説明をしましたが、「経過的加算」が受給できるケースは他にもあります。

1.20歳前の加入期間

老齢基礎年金の年金額算定になる厚生年金加入期間は20歳から60歳までの40年間に限定されます。
大卒者の場合は、就職年齢が22歳から23歳ぐらいになるため、60歳までの加入期間はどうしても40年に満たないことになります。
よって、60歳以降の厚生年金加入期間が「経過的加算」になるわけですが、では、20歳前に就職した人はどうなるでしょうか。

60歳以降の厚生年金加入期間同様に、20歳前の厚生年金加入期間も老齢基礎年金の年金額算定期間にはなりません。
その面では、20歳前の期間が「経過的加算」に反映される可能性はあります。

ただし、20歳前に就職した人は、60歳までに40年の厚生年金加入期間を持つことが可能です。
経過的加算」は、40年上限である「定額部分」と老齢基礎年金の差額なわけですから、20歳前の厚年期間があっても60歳以降の厚年期間があっても、20歳から60歳までに40年の厚年期間があれば、老齢基礎年金も満額の40年分になるわけですから、差額は発生せず、「経過的加算」は貰えません。
しかし、何らかの理由で20歳から40歳の間に厚生年金加入期間にブランクがあれば、「経過的加算」がつくことになります。

イメージしにくいので、例を挙げましょう。

Aさんは、18歳で就職、厚生年金に加入しましたが、25歳の時に、退職して自営業を始めました。
しかし、自営業は上手くいかず、4年後に再就職し、62歳まで会社員(厚生年金加入)として働きました。

このケースでは、20歳から60歳までの間に厚生年金加入期間のブランクが4年ありますから、20歳から60歳までの間の「厚生年金加入期間」は36年です。
一方、「定額部分」は、年齢関係なく40年が上限ですから、Aさんの場合、20歳前の2年間と60歳以降の2年間であわせて40年になり、老齢基礎年金とは4年分の差額が生じます。
その4年分の差額が「経過的加算」になります。

ここで注意

前回の説明では省略しましたが、「経過的加算」とは、「定額部分」と20歳から60歳までの「厚生年金加入期間に対応する老齢基礎年金」との差額です。
したがって、国民年金(第1号または第3号)加入期間分に相当する老齢基礎年金の額は除外されることになります。

上記Aさんの例では、もし、Aさんが自営期間の4年間に国民年金の第1号被保険者として保険料を払っていたら、厚生年金加入期間とあわせて40年分、つまり満額の老齢基礎年金を貰えることになります。
しかし、それでも4年分の経過的加算を受給することができます。

仮に、Aさんが自営業時代に国民年金の保険料を払っていたとすれば、満額の老齢基礎年金を受給しつつ、4年分の「経過的加算」も受給できるわけです。
もちろん、自営業時代に国民年金の保険料を払っていなくても、4年分の「経過的加算」は受給できます。

2. 定額部分との単価差額

次に、定額部分と老齢基礎年金の期間の差がなくても、定額部分と老齢基礎年金の「単価」に差があって、その差額が「経過的加算」になるケースがあります。
実は、定額部分と老齢基礎年金の加入期間1ヵ月当りの「単価」は同額になる世代は、昭和21年4月2日以降生まれの世代からです。
昭和21年4月1日以前生まれの世代は、定額部分の単価の方が老齢基礎年金の単価より高かったのです。

これも経過措置のひとつで、老齢厚生年金(報酬比例部分)の計算式に用いられる「乗率」と、定額部分の単価は、旧厚生年金時代の方が高かったのです。
それを、昭和21年4月2日以降生まれの世代までに、定額部分単価は老齢基礎年金単価と同額に、報酬比例部分の乗率は、新制度で予定していた率まで段階的に下げていったのです。

したがって、昭和21年4月1日以前生まれの世代には、期間の差ではなく、単価の差による「経過的加算」がついています。

正確に言うと、制度設計上老齢基礎年金と同額になったはずの、昭和21年4月2日以降生まれの世代の定額部分の単価にも、1円未満の端数分の差額があります。
これは、「定額部分」は厚生年金保険法で規定され、「老齢基礎年金」は国民年金法で規定されているということがあるのだと思いますが、端数処理が異なることが原因です。
しかし、単価の差額が1円未満の端数ですから、40年=480ヵ月分でもトータルで200円から300円程度の差額で、年金額を把握する上では誤差の範囲だと思います。

2015.7.6

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional