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65歳前の在職老齢年金② 4種類の計算式

65歳前の在職老齢年金② 4種類の計算式

前回の説明では、「65歳前の在職老齢年金」の計算式を1つしか紹介しませんでした。
実は、制度上、ケースにより65歳前の在職老齢年金の支給停止の計算式は4種類あります。
しかし、他の3つの計算式はほとんど使用することはありません。

それで、前回は1つの計算式しか説明しなかったのです。
とはいうものの、年金事務所のパンフレットや市販の年金本には4つの計算式が掲載されていますので、混乱を避けるため、ここでは他の3つの計算式も紹介し、あわせて不要な理由についても説明しておきましょう。

4つの計算式

では、他の3つの計算式を含めて、4つの計算式をすべて紹介しましょう。

条件①:年金月額=28万円以下、総報酬月額相当額=47万円以下

  • 支給停止額=(年金月額+総報酬月額相当額-28万円)÷2

前回説明した計算式で、ほとんどの人が当てはまります。

条件②:年金月額=28万円超、総報酬月額相当額=47万円以下

  • 支給停止額=総報酬月額相当額÷2

年金月額が28万円を超える場合、その超過額は支給停止額の計算に含めません。

超過額を支給停止額の計算に含めないということは、計算式を省略しなければ、{(年金月額+総報酬月額相当額-28万円)-(年金月額-28万円)}÷2、になり、年金月額と28万円がともに計算式の左のカッコと右のカッコにありますから、両者とも打ち消されて、結果「総報酬月額相当額÷2」というシンプルな計算式になります。

たとえば、年金月額が30万円の人なら、30万円-28万円で、2万円は支給停止に含まないということになります。
しかし、年金月額が28万円以上の人はこの世に存在しません。
年金月額が28万円超ということは、年金額(年額)は、336万円超ということです。
この額はまずあり得ない額です。
したがって、この計算式に該当する人はなく、覚える必要もありません。

条件③:年金月額=28万円以下、総報酬月額相当額=47万円超

  • 支給停止額={(47万円+年金月額-28万円)÷2}+(総報酬月額相当額-47万円)

こちらは、総報酬月額相当額が47万円を超えるケース。
この計算式が意味するところは、総報酬月額相当額が47万円を超える場合、その超過額は、「2分の1」ではなく、全額支給停止になるというものです。

それで、①の計算式の総報酬月額相当額の部分を47万円に置き換えて、さらに総報酬月額相当額の47万円超過額を支給停止額に加えるという計算式になっています。

総報酬月額相当額つまり賞与込み賃金が47万円を超えるケースは、対象者は多くはないと思いますが、あり得ます。
例えば、会社の社長や役員、一般社員でも60歳定年制でなければ該当するかもしれません。

しかし、②とは別の観点から、この計算式も覚える必要性はほとんどありません。
考え方としては、①の計算式で全額支給停止になってしまえば、この計算式を使用するまでもなく答え(全額支給停止)が出てしまうということです。

したがって、総報酬月額相当額がちょうど47万円の人が、年金月額がいくらなら全額支給停止するか計算してみればよいわけです。
つまり、(総報酬月額相当額47万円+年金月額-28万円)÷2=年金月額、となるには、年金月額はいくらかということです。
答えは、19万円。

47万円から28万円を引くと19万円です。この額と年金月額がイコールなら支給停止額はちょうど年金月額と同額になって、結果、全額支給停止になります。

年金月額が19万円未満なら支給停止額が年金月額を上回って、やはり結果的に全額支給停止になります。

ということは、③の計算式を使わなければ、答えが出ない人の年金月額は19万円超ということになります。
年金月額19万円ということは、年金額(年額)228万円で、これは、定額部分をあわせれば、そこそこ該当者がいるはずです。
しかし、平成27年度現在、男性では定額部分が支給される人はすでにいません。「報酬比例部分」だけで228万円は、まず無理です。
したがって、男性ではこの計算式が必要な人はいません。

女性の場合、まだ定額部分が支給される世代は残っていますが、男性に比べると、厚生年金加入期間が短く、賃金も男性より低いという人がほとんどだと思います。
女性で年金額228万円を超える人は、男性並みの長期加入者で、かつ普通の男性以上の賃金の人です。

該当者は、子育て期のブランクがないか非常に短く、かなりの高所得者ということになり、全体から見ればごくごく一部になると思います。

まとめれば、この計算式は、年金月額19万円を超える人のみ必要で、そのような人は、男性にはいなくて、男性並みに働いたごく一部の女性ということです。

条件④:年金月額=28万円超、総報酬月額相当額=47万円超

  • 支給停止額=(47万円÷2)+(総報酬月額相当額-47万円)

この計算式の意味は、②と③のミックスです。つまり、年金月額が28万円超の部分は支給停止計算から除外、総報酬月額相当額が47万円超部分は全額支給停止ということです。
年金月額28万円を超える人が存在しない以上、この計算式も不要です。

在老の計算式は1つでOK

このように、65歳前の在職老齢年金の4種類の計算式を検証した結果、必要な計算式は前回説明した条件①の計算式のみ、レアケースを想定してもあと条件②の計算式が必要なだけです。

なのに、年金機構のパンフレットには、律儀に4種類の計算式が掲載されています。
法律上は4種類あるからですが、それによって、せっかくのパンフレットが一般の人にはわかりにくくなってしまいます。

2015.7.11

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