試験は縦割り、実務は横断
試験は縦割り、実務は横断
社労士の試験は、法律ごとに科目がわかれています。
したがって、その勉強方法も法律ごとの縦割りになります。
しかし、実務は違います。
実務というのは、何かが起こったときにどうする?ということです。
例えば、顧問先の会社に社員が入社したとします。
この場合、社会保険と雇用保険の資格取得届を届け出ます。
社会保険とは厚生年金と健康保険ですから、法律で言えば「健康保険法」と「厚生年金保険法」が関わってきます。
雇用保険の被保険者資格取得はもちろん「雇用保険法」によります。
この例は簡単な例です。
では、会社員が業務上被災し、障害者になった、という事例を考えてみましょう。
まず、業務上災害ですから、労災保険の給付が思いつきます。
しかし、会社員であれば厚生年金の被保険者ですから、障害厚生年金受給の可能性もあり、労災の障害年金と障害厚生年金を併給する場合には、両給付間の調整もあります。
法律に当てはめると、労災保険法と厚生年金保険法ですが、もうひとつ労働安全衛生法に基づいて、労働基準監督署に「労働者私傷病報告」をしなければなりません。
3つの法律が関わってきますね。
さらには、労働基準法の解雇制限も関わってくる可能性があります。
また、会社の就業規則も関連して、休業中に賃金支払をどうするかという問題も出てきますし、休業中は無給であっても社会保険の保険料は今までと同じように負担します。
これは、健康保険法と厚生年金保険法。
このように、ひとつの事象に複数の法律や制度、さらには会社の規定等も関わってくるのが実務です。
試験は縦割りですが、実務は「横断」ということです。
社労士の試験に受かって、開業するまでには、法律ごとの縦割りの知識を、ケースごとの横断の知識体系に返還する努力が必要になってきます。
2015.9.10