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第3号被保険者制度にまつわる経過措置

第3号被保険者制度にまつわる経過措置

昭和60年改正と第3号被保険者制度

すでに何度も触れていますが、現在の年金制度は昭和60年の大きな年金改正をベースにしています。
では、昭和60年改正前の年金制度とはどのようなものだったのでしょうか。

昭和60年改正前の年金制度は、民間会社員の厚生年金、自営業者の国民年金、公務員の共済年金と3つの制度に分かれていました。
「今でもそうだろう」と思う人がいると思いますが、今の年金制度は、この3つの制度が「国民年金=基礎年金」を共通項として結ばれている形になっています。
厚生年金の加入者と共済年金の加入者は、国民年金の加入者でもあり、国見年金側では「第2号被保険者」と呼ばれます。
旧制度の国民年金加入者は、現制度では「国民年金の第1号被保険者」になります。

このことはすでに説明済みですから、今回のテーマである「第3号被保険者」の話に移りましょう。
「第3号被保険者」とは、「第2号被保険者」(厚生年金または共済年金加入者)の被扶養配偶者であって、保険料を支払わずして「基礎年金」の権利を有する被保険者ということになります。
年齢は20歳以上60歳未満に限定されます。

女性の年金権の確立

なぜ、「第3号被保険者」という制度ができたのでしょうか?

旧厚生年金も、旧共済年金も夫が妻を養うという前提で年金額が設定されていました。
妻の分も夫に支払うということです。
したがって、既婚女性は年金制度に加入する義務はありませんでした。

しかし、年金を支給するのはあくまでも夫に対してです。
この状態で、妻が夫と離婚してしまうと、妻は無年金になってしまいます。
旧制度では、いわゆる「熟年離婚」という事態を想定していなかったわけですね。

それで、昭和60年改正当時、「女性の年金権」の確立という課題が生じていたわけで、「第3号被保険者」がその答えということになりました。
第2号被保険者に支払う年金支給水準を引き下げる代わりに、その被扶養配偶者を「第3号被保険者」という位置づけにして、最低限「基礎年金」は妻名義の年金にしようということです。
そうなれば、仮に熟年離婚してもまったくの無年金にはなりません。
ちなみに、現在では、基礎年金だけでなく、離婚時に厚生年金部分も夫と分割できるようになっていますが、それは、比較的最近の年金改正で実現しました。

改正したからすぐに年金制度が変わるわけではない

さて、年金制度とは「過去を引きずるもの」ですから、昭和60年改正で「第3号被保険者」制度ができたからといっても、制度改正した直後から満額の老齢基礎年金を受け取れるわけではありません。

昭和60年改正が施行されたのは、昭和61年度ですから、昭和61年度から相当の期間を経ないと、第3号被保険者として受けられる老齢基礎年金の額は大した額になりません。

第3号被保険者制度のスタートが昭和61年ということは、昭和61年4月1日時点で20歳を超えていた人は、どうあがいても将来満額の「老齢基礎年金」は受けることができないということです。
例えば、昭和61年にすでに50歳だった主婦は、60歳までの10年間しか「第3号被保険者」にはなれないことになります。
そうすると、「老齢基礎年金」の額も10年加入分にしかなりません。

第3号被保険者制度にまつわる経過措置

そこで、経過措置が必要となってきます。
第3号被保険者になれる期間が短いために低い額になってしまう年金を「補填」する経過措置です。
要するに、「第3号被保険者制度がスタートしたのが遅くてごめんなさい」という趣旨の経過措置です。

第3号被保険者制度にまつわる経過措置は2つあります。
ひとつは「振替加算」、もうひとつは「経過的寡婦加算」です。

「振替加算」とは、第3号被保険者になれる期間が少ないために低額になってしまう「老齢基礎年金」を補てんする年金で、老齢基礎年金に加算されます。

「経過的寡婦加算」とは、夫が死亡したことで妻が受け取る「遺族厚生年金」に加算される年金で、一見「老齢基礎年金」とは関係ないようですが、実は関係があります。

それぞれの制度の具体的な説明は次回以降に。

2015.5.27

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