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社会保険適用基準とパート雇用 その1(適用基準)

社会保険適用基準とパート雇用 その1(適用基準)

社会保険適用基準

社会保険(健康保険・厚生年金)は、法で規定された「強制保険」です。
したがって、好むと好まざるに関わらず、適用の基準を満たす場合は加入しなければなりません。

普通の会社員、いわゆる正社員であれば適用基準というものを考えるまでもなく、加入義務があります。
適用基準を意識すべきは、いわゆる「非正規」の社員です。
一般の会社であれば、その代表例はパートタイマーでしょう。
その他、ごく短期間の有期社員等もありますが、ここでは、パートタイマーの社会保険適用基準を見ていきましょう。

法律上の被保険者の定義(健康保険法第3条、厚生年金保険法第9条)は、「適用事業所に使用される(70歳未満の)者」です。
カッコ内は厚生年金の定義です。厚生年金は70歳までしか加入できません。
健康保険の適用は75歳からは後期高齢者医療制度に加入することになりますから、75歳までなのですが、法律の条文では75歳未満という文言はなく、適用除外として「後期高齢者医療の被保険者」となっています。

「適用事業所」とは、すべての法人と5人以上の個人事業(一部業種は除く)ですから、会社であればすべてということになります。

問題は「使用される者」の解釈です。
具体的にはごく短時間勤務のパートタイマー等は「使用される者」といえるのかどうか、行政内部で「使用される者」の判断基準として、次のような基準が提示されています。

  1. 一日の所定労働時間が一般の従業員の概ね4分の3以上(日によって所定労働時間が異なる場合は、1週間をならして概ね4分の3以上)箇条書き1
  2. 1ヵ月の所定労働日数が一般従業員の概ね4分の3以上箇条書き2

この2つの条件を満たした場合は社会保険に適用されることになります。
逆に見れば、この2つの条件のうちのひとつでも満たさなければ、社会保険は適用除外、つまり適用されないということになります。

この基準は、いわゆる「4分の3要件」として、一般に広まっていますが、注意すべきは、法律で定められた基準ではないことと、「概ね」という文言からわかるようにあいまいさがあることです。

年金事務所の判断

社会保険の適用は、かつては社会保険庁(現場は社会保険事務所)、現在では日本年金機構(現場は年金事務所)が管轄しており、私の個人的な印象としては、年金機構になってから、社会保険の適用に関する調査が積極的に行われていると感じています。

先に、「あいまいさ」があると指摘しましたが、ここ何年かの年金事務所の調査を見ると、ほぼ「4分の3要件」に準拠した判断がされているようです。
ただし、パートタイマーの所定労働時間を「4分の3未満」にしていたとしても、例えば常態として所定時間外労働があり、所定外労働を含めると4分の3以上になる場合には、「適用すべき」という判断が下される可能性が大です。
たまたま忙しい時期があって、結果的に一時的に所定外労働を含めると4分の3以上になるということであれば、「適用除外」と判断されるようです。

一般にパートタイマーを雇う会社では、この「4分の3要件」を外すような所定労働時間設定をして、できるだけパートタイマーには社会保険が適用されないよう労務管理しているケースが多いと思います。
しかし、所定労働時間だけでなく、所定時間外労働の可能性も含めて、「4分の3要件」を外すようにしなければ、調査が入ったときには、最大2年間まで遡って適用される可能性があるということです。

社会保険適用基準からわかるパートタイマー像

働き手であるパートタイマー自身はどうでしょうか?

社会保険に適用されなければ、社会保険料を払う必要がないので助かると思うでしょうが、これには給与水準が関係してきます。
会社で社会保険に適用されなければ、パートタイマー自身が国民年金と国民健康保険に加入しなければならないという可能性もあります。

そうならないためには、配偶者の健康保険の被扶養者かつ年金の「第3号被保険者」にならなければなりません。
そのためには稼ぎ過ぎてもダメなのです。
本人の収入によって、健康保険の被扶養者や年金の「第3号被保険者」になれるかどうかが決まるからです。

会社で社会保険に適用されないことがメリットになる人は、夫の健康保険の被扶養者となり、かつ「第3号被保険者」になる人です。
第3号被保険者は、配偶者が厚生年金加入者でなければなれませんし、健康保険の被扶養者になるためには、親族が健康保険加入者でなければなりません。
その両方を満たす人は、配偶者(普通は夫)が会社員である主婦ということになります。
そして、そのような人でも稼ぎ過ぎると、「自立者」として、国民年金と国民健康保険に加入しなければならなくなります。

つまり、パートタイマーになりたい人というのはかなり明確ということです。
第一に夫が会社員である主婦層ということになります。
第二に学生アルバイトです。
学生の場合は、「第3号被保険者」にはなれませんが、親の健康保険の被扶養者になれます。

パートタイマーのなり手像が明確であれば、会社の労務もそれにマッチングさせる必要が生じます。
具体的には、社会保険適用除外となる労働時間設定と、健康保険の被扶養者(第3号も同基準)となれる収入に収まる時給設定です。

次回、このあたりを詳しく解説しましょう。

2015.5.5

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