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社会保険給付と労務 その9(産休と育介休)

社会保険給付と労務 その9(産休と育介休)

産休・育休、介護休業の期間

産前・産後休業(いわゆる「産休」)と育児・介護休業は、法律で休業期間が決まられています。
したがって、会社が任意に期間設定するわけにはいきません。
ただし、育児休業と介護休業は、法定基準を超える限りは任意設定が可能です。

上記各休業の法定休業期間についてまとめておきましょう。

  • 産前・産後休業(労働基準法第65条)
    • 産前:出産予定日の6週間(多胎妊娠の場合は14週間)前以降、本人が請求した日から
    • 産後:産後8週間(強制休業)、ただし、医師が認めれば7週目から就業可
  • 育児休業(育児・介護休業法)
    • 原則:子が1歳になるまで
    • パパママ育休プラス:夫婦が共同で育児休業を取る場合は、子が1歳2ヵ月に達するまで
    • 特別の事情がある場合(保育所に入所できない等):子が1歳6ヵ月になるまで
    • 女性の場合、産休が優先(出産した女性が育児休業を取れるのは、出産後57日目以降)
  • 介護休業(育児・介護休業法)
    • 93日間

休業中の社会保険料

  • 産休と育休期間は社会保険料免除
  • 社会保険料免除は子が3歳まで
    • 社会保険料免除でも、厚生年金の計算上は保険料を払ったものとみなされる(「養育特例」といいます)
  • 介護休業期間は社会保険料負担あり

休業中の社会保険給付

  • 産休期間
    • 健康保険の「出産手当金」
      • 1日当り標準報酬日額の3分2
  • 育休期間
    • 雇用保険の「育児休業給付」
      • 育休6ヵ月間は、休業前賃金の67%
      • 育休7ヵ月目からは、休業前賃金の50%
  • 介護休業期間
    • 雇用保険の「介護休業給付」
      • 休業前賃金の40%

休業の構造

  • 法律は、会社に休業を義務付ける
  • 会社は休業を与える(賃金は払わなくても良い)
  • 社会保険給付が経済支援

産休、育休、介護休業の構造は、上記のように、法律が各休業の定義や期間を決め、会社に休業させることを義務付け、会社は該当する社員に休業を与える主体ですが、休業中の賃金の支払いまでは要求されません。
そして、休業により所得を失った社員に経済支援をする役割は、社会保険が担う。
このように、「法、会社、社会保険」という「トライアングル構造」になっているのが特徴です。

法定期間を超える休業は?

育児休業は、法律上の義務は最長で1年半ですが、これを超える分には会社の任意です。しかも、社会保険料免除制度は子が3歳までです。
しかし、法定期間を超えた休業期間を設定することは、上記「トライアングル構造」が崩れます。法定期間を超えた育児休業には育児休業給付が支給されないのです。
つまり休業の実効性が低くなります。

こう考えると、やはり育児休業期間は法定期間を超える必要はないのではないかと思います。
もちろん否定するわけではありませんが、休業者自身にとっては、法定期間を超えた時点から「育児休業給付」という収入がなくなるわけですから、会社の籍を失わないという意味しかありません(決して意味が小さいわけではありませんが)。

一方、法定の介護休業期間は3ヵ月(93日は大の月3ヵ月分)と短い期間です。
この3ヵ月という期間は、介護が必要となった対象家族が介護認定を受けるなどして、公的支援を伴う介護体制を構築できるであろう期間を想定したものと言われています。
それにしても短すぎます。

介護休業の対象家族には、子どもも含まれますから、子どもの介護であれば、短期間で済む可能性がありますが、老親の介護となると長期化する可能性大です。
3ヵ月の介護休業ではどうにもならないとなったとき、社員はどうするでしょうか。
結局は退職を迫られることになってしまうのではないでしょうか。

だからといって、会社が法定を超える介護休業期間を定めたとしても、やはり介護休業給付の不支給により「トライアングル構造」が崩れ、休業の実効性が低くなってしまいます。
社員の退職の意思を引き留めるには力不足ではないでしょうか。

老親を介護するための介護休業取得者は、50歳台ぐらいのベテラン社員が想定されますから、会社にとっても大きな課題でしょう。
つまり、辞められたら困るような社員が介護のために辞めざるを得なくなる可能性が高いのです。
そしてその本番は、団塊世代が被介護年齢に達する10年後ぐらい先に来ます。
それまでに、行政はもう少し介護休業の法律面、社会保険面において「トライアングル構造」を強化する必要があるのではないでしょうか。
会社としては、ベテラン社員の介護退職を防ぐために、あえて法定以上の休業期間を設けるとすれば、法定期間では社会保険給付が担っていた経済支援を会社自身が行う必要に迫られるかもしれません。

介護休業に対する会社の労務体制は、

  1. ベテラン社員の介護休業に備えること
  2. 休業期間
    1. 法定期間以上にする場合、賃金支給をどうするか?
    2. 法改正を待つ(介護休業期間の延長=介護休業給付支給期間の延長)

なかなか悩ましいところです。

2015.4.26

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