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社会保険給付と労務 その4(私傷病退職と雇用保険)

社会保険給付と労務 その4(私傷病退職と雇用保険)

職場復帰できずに休職期間が終了したら

私傷病休職の期間が終了したのに、職場復帰できるまで回復しなかった場合、休職期間満了という形で退職することになります。

就業規則に、休職期間と「休職期間が満了してもなお職場復帰ができない場合は退職とする」等の規定がきちんと定められていれば、退職者の雇用保険上の「離職理由」は「期間満了」という扱いになります。

「期間満了」という離職理由は、解雇と自己都合の中間的な扱いです。
「解雇等」の場合は「特定受給資格者」という立場になり、基本手当(失業時の給付)の所定給付日数が多かったり、自己都合のように「3ヵ月間の給付制限」がないなど、有利な扱いになります。
「自己都合」の場合は「一般の受給資格者」となり、「3ヵ月間の給付制限」があります。
「期間満了」の場合は「自己都合」同様「一般の受給資格者」となりますが、「3ヵ月間の給付制限」はありません。

しかし、私傷病休職の期間が終了してもなお職場復帰できないために退職したのであれば、雇用保険の失業給付(基本手当含む)は受けられません。
なぜならば、雇用保険の失業給付を受ける要件として、「失業状態にあること」が必要なのですが、「失業」の定義とは、①労働の意思、②労働の能力があるにもかかわらず、③職業に就くことができない状態であると定義づけられているからです(雇用保険法第4条)。

休職期間満了により退職した人は、傷病が治らずに、職場復帰できなかった人ですから、退職時点では「労務不能」、つまり前述の②の「労働の能力」がない状態です。
したがって、このような人は傷病が治って、「労働の能力」が回復するまでは雇用保険の失業給付は受けられません。

また、通常このような人は、退職後も健康保険の「資格喪失後の傷病手当金」を受けているはずです。
「傷病手当金」の方は、逆に「労務不能=労働の能力がない」が条件です。
つまり、雇用保険の失業給付は「傷病手当金」受給中は「待った」がかかり、治癒してから受給可能になるわけです。

雇用保険の受給期間

ここで、問題があります。

雇用保険の失業給付には、「受給期間」というものがあって、離職後1年間という時間の枠内でしか受給できないのです。

「労務不能」な状態が続いていれば、在職中の支給開始日から数えて最長1年6ヵ月間までは「傷病手当金」を受給できるのですが、いざ傷病が治って、就職活動を使用というときに、雇用保険の「受給期間」が過ぎてしまった、またはほんの少しの期間しか残ってなくて所定給付日数分を貰えないという可能性があるのです。

「受給期間延長」

このような事態を避けるため、雇用保険には「受給期間延長」という制度があります。
傷病の場合、最長で3年間「受給期間」を延長することができます。

したがって、傷病で退職する人は、退職後ハローワークで「受給期間延長」の手続をすべきです。
そうすれば、傷病が治癒するまでは健康保険の「傷病手当金」を受給し、治癒後は雇用保険の失業給付というように、「セーフティネット」をバトンタッチできることになります。

このようなことは、「知っているかいないか」が明暗を分けます。
知っていれば、ハローワークで聞けば、手続方法等を教えてくれますから。
したがって、私傷病退職者には、会社が教えてあげるべきでしょう。
このようなことは、就業規則には現れませんが、現実の労務管理としては大切なことと思います。

2015.3.16

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