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社会保険給付と労務 その2(休業期間の賃金)

社会保険給付と労務 その2(休業期間の賃金)

休業期間の賃金に関連する各社会保険給付上の留意点

  1. 休業期間には賃金支払い義務はない(ノーワークノーペイの原則)
  2. 給付は原則賃金と調整される
    • 傷病手当金と出産手当金(健康保険)は完全相殺(支払った賃金と同額が給付から差し引かれる)、労災保険の休業(補償)給付もほぼ同様
    • 育児休業給付、介護休業給付は、賃金+給付の合計額が休業前賃金の8割を超えた場合に、超過額が給付から差し引かれる
  3. 産前産後休業、育児休業以外の休業時には、社会保険料負担がある
    • 労働保険は実賃金に対してかかるので、社員の休業中に賃金を払わなければ、保険料負担はなくなりますが、社会保険料は原則休業中でも「標準報酬月額」を基に保険料負担が発生します。
    • 産前・産後休業期間と育児休業期間については、届出をすることにより社会保険料負担は免除され、なおかつ、休業者本人の年金計算上は保険料を支払ったものとみなされます。

休業に関する就業規則の決め方、運用

以上の留意点を踏まえて、就業規則の休業、休職の規定を決め、また実際のその時々の運用を考えておく必要があります。

休業中の賃金

留意点1と2は、休業中の賃金に関して関係してくる事項で、早い話が、休業中は法令上賃金を支払う義務はありませんし、また一部支払ったとしても給付と調整されてしまいます。したがって、原則としては、休業期間は賃金を支払わないこと旨を就業規則に明確に規定しておくことがセオリーといえます。

しかし、もし、休業期間に賃金を支払うとした場合、どういうことになるのか考えてみましょう。

傷病手当金の場合には、賃金を一部支払った場合には完全相殺になりますが、賃金が給付額を上回れば給付は支給されません。
この給付の支給期間は最大で支給開始から1年6ヵ月ですから、給付額を上回る賃金を支給している期間は、給付期間を先延ばしすることになり、重病で保証期間が長いことにメリットがあるような労働者にとっては意味があります。
もちろん会社の負担は大きくなりますが。

しかし、中途半端に、例えば休業中であっても賃金の5割を支給するという場合、結局は賃金と給付の合計額は本来の給付額と同額になり、さらに給付は非課税で賃金は課税対象になりますから、可処分所得を考えた場合には、賃金を中途半端に支給した方が低くなってしまい、まったく意味がないと言えると思います。
さらに、賃金分減額されても給付自体は支給されるので、給付期間の先延ばしというメリットもありません。

育児・介護休業給付は、どちらも給付と賃金を合算した額が、休業前の賃金日額の8割を超えなければ支給調整はされません。
したがって、社員の定着率を上げる等の明確な目的があれば、支給調整されない範囲内で一部支給という選択肢はあり得ます。

休業中の社会保険料負担

留意点3との関連になりますが、産休、育休以外の休業は社会保険料負担があります。
休業期間に賃金を支払わないということであれば、賃金から社会保険料の本人負担分を控除することができません。
したがって、休業中の社会保険料の支払い方法も就業規則に規定しておくべきでしょう。
社会保険料は高いですから、休業が数ヵ月続くと、もし月々徴収していなければ、累計で結構な額になってしまいます。
さらに、休業者本人に休業期間中にも社会保険料負担があるという認識がないと、会社が立て替えていたはずの本人負担分を返してもらうことでトラブルになりかねません。

休業と年次有給休暇

傷病手当金は、休業の最初の3日間は「待期期間」といって、支給対象となりません。
「待期期間」に年次有給休暇を取得することはできますが、年次有給休暇は会社が勝手に取らせるわけにはいきません。
したがって、就業規則にも規定しにくいので、これはその時々に社員にアドバイスをするということで良いでしょう。
社員によっては、「待期期間」だけでなく、取得できる年次有給休暇を全部使ってから、傷病手当金を受給したいという人もいます。
もちろん、会社は年次有給休暇の取得を拒めません。
したがって、このようなケースでは社員の希望に従うべきでしょう。
ただ、傷病手当金の説明をして、有給を使うのは「もったいない」という程度のアドバイスなら問題ないと思います。

産休、育休、介護休業については、休業を取ることで、労働義務日がなくなるわけですから、この期間に年次有給休暇を取るということはできなくなります。
「休暇」とは、本来労働義務がある日に関して、その労働義務を免除する日だからです。

なお、産前休業は本人の申請により、出産予定日の42日前からであれば、いつから休業するということが任意で決められます。
ということは、実際には産前休業に入る前に、数日間有給休暇を取るということは可能です。

2015.3.13

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