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某厚生年金基金の説明会に参加して

某厚生年金基金の説明会に参加して

先日、顧問先の代理として、某厚生年金基金の説明会に行ってきました。
なんの説明会かというと、この基金は、一度解散し、新たな企業年金基金に生まれ変わる予定で、その新基金の内容や加入手続等の説明会です。

現在、厚生年金基金の解散等を促進する法律ができて、多くの基金が解散や代行返上を予定していると思います。
何故、基金の加算を促進する法律ができたのか?
これは、多くの基金が財政難に陥っているからです。

基金の財政状況を悪い順に挙げると、
① 代行割れ:基金の積立不足が、国の年金を代行する財源にまで及んでいる状況
② 代行割れまで行かない積立不足:代行返上後、資金が多少残る状況
③ 健全
という感じです。

厚生年金基金の簡単な説明

ここで少し、基金についての補足説明をしておきましょう。

一般的に、厚生年金基金の給付には、国の年金の一部を代行する「代行部分」と基金独自の「加算部分」があります。
「代行部分」の給付には、本来ならば国(年金機構)に支払うべき厚生年金の保険料の一部を基金に回した掛金を財源とします。
「加算部分」の給付財源は基金が加入企業から独自に徴収する掛金です。この掛金は、原則、加入企業が負担し、従業員が負担しません。

「代行割れ」とは、加算部分の財源を足しても、基金が国から預かって運用していた資金を全額は返せない状況で、「代行割れまでいかない積立不足」とは、代行部分の財源は確保しているものの「加算部分」の財源が不足するという状況です。

「代行部分」に関しては、本来国の年金ですから、これを減額したり無くしたりすることはできません。受給者の立場で見れば、代行部分の年金は保証されます。
基金が解散したり、代行返上した場合、年金の支払い主体が基金から国に代わるだけです。ただし、「プラスアルファ部分」と呼ばれる、基金が代行部分に加算する部分は失われます。

加算部分とプラスアルファ部分

「プラスアルファ部分」と「加算部分」の違いは、「加算部分」は基金独自の掛金が財源で、「プラスアルファ部分」は、基金が国から預かった資金を財源としていることです。
つまり、国が基金に国に支払われるべき保険料の一部を基金に回す以上は、国の給付水準を多少なりとも上回るようにするよう基金に対して努力義務として課している部分が「プラスアルファ部分」ということです。

基金の取るべき方策

さて、基金の取るべき方策ですが、①の場合、ほぼ解散しか選択肢がありません。解散すれば、基金の加算部分は消滅し、なおかつ、解散後に借金が残る状況です。その借金の返済は基金に加入していた企業にのしかかります。

②の場合は、代行返上後に残った資金の程度によって、解散も含めていくつかの選択肢があります。解散して残った資金を按分して加入者や受給者に分配する、または加算部分だけの新たな基金に移行するというような選択肢です。

今回、私が説明会に参加した基金では、一度解散し、基金は加算部分だけの新たな基金に生まれ変わるというものですが、単純な「移行」とは異なり、新基金に加入するもしないも自由になります。単純な「移行」の場合は、加入企業に選択肢はなく、みな新基金に移行しなければなりません。

④だけは今まで通りの基金として存続が可能です。ただ、基金の財政の健全性には、厳しい基準が設けられていて、これをクリアする基金は、厚生労働省の見立てでは、全体の10%ほどとのことです。

なぜそんな状況になってしまったかは、後に回して、とりあえず、説明会に参加した感想を言っておきましょう。

経済政策と社会保障

それは、「安倍政権になって良かった」ということでした。
この基金の説明会には2年ほど前から3回ほど参加していますが、新しい説明会ほど状況が好転しています。

実は、この基金は、平成23年度時点では「代行割れ」状態でした。
それが、平成24年度、25年度と積立金の運用が好転して、前述のように、新基金に生まれ変わることが可能となったのです。

基金の財政の好転時期は、ちょうどアベノミクスと重なります。
株が上がっても庶民には関係ないというような批判もありますが、もちろん株式投資をしていなければ直接的な恩恵はないものの、このように間接的な恩恵はあるということです。

「代行割れ」のままなら、加入企業の加算部分を受給しているOBの年金がなくなり、現役も将来貰えるはずの加算部分がなくなってしまうところでした。さらに、加入企業には加算後に借金が残ることになっていました。
しかし、景気が好転し、運用が上手くいくようになったからこそ、基金も「代行返上」に留まり、「加算部分」は守られることになったのです。

このような構図は、国の年金財政にしても同様です。
公的年金資金の運用が良くなれば、年金財政は当然良くなります。
ただし、公的年金の場合は、財政方式が「賦課方式」ですから、積立方式の企業年金に比べると、運用の影響は少ないので、将来的な年金支給水準の引き下げ幅が多少緩和されるという程度だと思います。

しかし、それでも、年金制度のように巨額の積立金を運用して、給付財源の一部を賄う制度にとっては、運用環境の好転は良いことでしょう。

国の政策としても、社会保障制度が独立してあるのではなく、経済政策という土台があってこその社会保障政策と思います。今回そのことを強く実感しました。

2015.6.7

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