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年金額計算式からわかること①

年金額計算式からわかること①

これまで説明してきた年金額の計算式から何がわかるか考えてみましょう。

老齢厚生年金の計算式からわかること

老齢厚生年金の年金額は、支払った保険料の額に連動して決まるわけではなく、その保険料の元となった「報酬額」に連動して決まります。
保険料も報酬額に対して一定の率で支払いますから、保険料に連動しているといってもよさそうな気もしますが、違います。

たしかに、同世代であればそうなります。
しかし、世代が異なると、保険料率が時代によってかなり違うため、同じ「報酬」に対して負担した保険料額が異なってきます。

例えば、昭和40年5月の保険料率は、1000分の55でした。本人負担と会社負担をあわせた率です。
昭和51年8月の保険料率は、1000分の91、昭和60年10月は1000分の124。

平成8年10月から14年度までは1000分の173.5、平成15年度には「総報酬制」になり、1000分の 135.8になりました。
これは保険料算定要素に賞与が加えられたことで、保険料算定基礎額が上がったために保険料率を下げたわけで実質的には変わりません。

その後平成29年9月まで毎年9月に保険料率が上がり、現時点(平成27年3月)では1000分の174.74、平成29年9月に1000分の183になり、これが最終的な保険料率になります。

このように厚生年金の保険料率は時代が進むにつれ高くなっています。
つまり、保険料率の低かった時代を多く持つ世代ほど、「報酬」に対する保険料負担額の割合が低くなるわけですから、支払った保険料に対する年金額の割合は高くなるということです。

また、古い時代の加入期間を多く持つ世代ほど古い世代で、そういう世代ほど年金額の計算式に用いられる乗率も高くなります(昭和21年4月1日以前生まれの世代は、計算式の乗率が高い)。

さらに、古い世代ほど、賃金スライドによって、過去の低かった「報酬額」が再評価率によって引き上げられて年金額の計算基礎になります。

以上のことを考慮すれば、古い世代ほど負担した保険料に対する年金額は重層的に高くなるということがわかると思います。

普通の商品は、通常価格が高いほど価値の高い商品が買えるはずですが、年金の場合は、世代で考えれば、負担した保険料が低い世代ほど高い価値の年金を受給できることになります。
年金という社会保障制度を一般の商品と比べるべきではないのですが、世代間格差を考える視点のひとつにはなると思います。

このように、年金額の計算式に、保険料率の推移を加味すると、年金制度の世代間格差が見えてくるのです。

老齢基礎年金

老齢基礎年金の計算式には「報酬」という概念はありません。
国民年金は定額の保険料を支払って、定額の老齢基礎年金を受給するという制度です。
老齢基礎年金の計算式は、「満額の基礎年金額×480月分の保険料納付月数」で、「満額の基礎年金額÷480月」を年金の月単価とすれば、「単価×保険料納付月数」となるわけですから、保険料額と年金額の比率は一定です。

ただし、国民年金の保険料も時代によって異なります。
例えば、国民年金制度は昭和36年4月に、保険料100円でスタートしましたが、現在(平成26年度)、15,250円になっています。

国民年金の保険料の推移を一部抜粋して紹介すると、次のようになります。

昭和36年100円、昭和45年450円、昭和55年3,770円、平成元年8,000円、平成10年13,300円、平成20年14,410円、平成26年15,250円、平成29年16,900円(最終、ただし物価・賃金変動率により変わる)

一方、年金額の方は年金を受給する年度で決められます。

つまり、平成26年度は、基礎年金額は772,800円なので、昭和36年当時に100円の保険料を払った人のその月の年金単価は1,610円ということになります。
しかも、国民年金制度がスタートした昭和36年4月に20歳を超えていた世代の老齢基礎年金計算式は「満額の基礎年金額×加入可能月数分の保険料納付月数」で、加入可能月数は480月より小さいわけですから、年金単価は高くなります。

ということは、昭和36年4月に20歳だった世代、つまり昭和16年4月2日ごろに生まれた人が、昭和36年4月に支払った保険料100円は、現在1,610円の年金に化けたということで、それより早く生まれた人はもっと大きい額に化けたということになります。

もちろん、国民年金の保険料は時代が進むにつれて上がっていますから、ある世代の人が支払った保険料総額を平均すればこのような傾向はぐっと緩和されます。
しかし、それにしても、やはり古い世代が有利なことは明白です。

このことは、国民年金の保険料を納付する「第1号被保険者」にのみ言えることですが、国民年金制度にもやはり大きな世代間格差があるということであって、それは年金額計算式に加えて保険料額の推移を加味すれば推察できることなのです。

2015.3.5

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