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年金額 その3(老齢厚生年金の計算式②)

年金額 その3(老齢厚生年金の計算式②)

前回の続きです。

再評価率

老齢厚生年金の計算の本当の複雑さは、計算式に用いられる「平均標準報酬月額」や「平均標準報酬額」が、単純な平均額ではないことです。
今でこそ、デフレで賃金水準は下がることの方が多いのですが、かつては賃金水準は毎年上がっていました。
そういう時代に、ある人の現役時代の賃金の「平均額」を算出するとなると、賃金水準の低い時期の賃金をそのまま平均すると平均額を押し下げることになってしまいます。

年金制度は、40年前後という長期間にわたって加入するものですから、その間の賃金水準の変動率は大きくなります。
したがって、賃金水準の低い古い時代の加入期間を多く持つ人(年配者)ほど、賃金平均額が低くなってしまいます。
このような事態を防ぐために、年金額計算に用いられる「平均標準報酬月額」や「平均標準報酬額」は、単純平均ではなく、古い時代の賃金水準を補正するための「再評価率」を乗じて計算されます。

再評価とは、「再評価率表」に従って、例えば昭和40年5月から昭和41年3月までの標準報酬月額は7.168倍するというようにします。
例えば、昭和40年5月の標準報酬月額が、実際には3万円だったとしても、再評価率を掛けた215,040円が平均額算出のための額になるということです。
このような作業をすべての期間分の標準報酬月額について行い、平均額を算出します。

再評価率は、最近では年度単位ですが、昔は中途半端な期間で決められていました。
ですから、再評価された標準報酬月額の平均額を算出するという作業は大変な労力を伴います。

個人の年金額防衛法

再評価という膨大な作業があるため、老齢厚生年金の年金額の計算は、まず一般の人にはできません。
つまり、年金機構が算出した年金額が正しいかどうかを個人レベルで確認することは極めて難しいといって良いと思います。

しかし、年金機構には年金額を計算するシステムがありますから、年金記録さえ正しければ、年金額については年金機構が算出する額が間違っていることは考えにくいと思います。
年金額の計算方法については、年金機構を信用するとしても、それでも年金額が間違っているケースは考えられます。
それは年金記録が間違っているケースです。
ですから、個人ができる年金額防衛方法は、まず、自分の年金記録が正しいかどうか確認することでしょう。

自分の年金加入期間中のすべての「標準報酬月額」と「標準賞与額」を知りたければ、年金事務所で年金記録をプリントして貰えば可能です。
年金定期便にも記載されています。
年金定期便には、支払った保険料の額も記載されていますが、こちらは年金額とは関係ありません。

まだまだ続く老齢厚生年金の計算方法

ここまで、老齢厚生年金の年金額計算方法について長々と説明してきましたが、まだまだ終わりません。
老齢厚生年金の計算式や計算方法の説明は本当に大変なのです。
いくつかの改正にまたがって、新旧の計算方法が混在しているのです。

紹介した老齢厚生年金の計算式も、いわば正規の計算式であって、現在、実際の年金額を算出している計算式は、ここで紹介した計算式よりも古い時代の計算式が使われています。

このことを説明するためには、少し遠回りをしなければなりません。
次回もこの続きですが、「遠回り」の一環として平成16年度までのスライド制を取り上げていこうと思います。

2015.2.19

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