Quick Homepage Maker is easy, simple, pretty Website Building System

年金の損得その3

年金の損得その3

老齢厚生年金の損得勘定

老齢厚生年金の「損得勘定」ですが、こちらは老齢基礎年金以上に困難です。
なぜならば、厚生年金加入者の年金は老齢厚生年金だけでなく、老齢基礎年金も支給されるからです。
そもそも、老齢厚生年金だけを受給するという年金加入者はいませんから、この項は「サラリーマンの年金の損得勘定」と言った方がふさわしいでしょう。

老齢基礎年金は定額の年金、老齢厚生年金は報酬比例の年金です。
つまり、厚生年金加入者(サラリーマン)の年金は定額と報酬比例の混合ということになります。
それに対して、厚生年金の保険料は報酬に対して比例します。
この保険料には基礎年金部分が含まれていますが、そのうちの何%が基礎年金分というように区分されているわけではありません。

報酬に対して完全比例の保険料と、一部定額の不完全な報酬比例年金では、保険料に対する年金の割合を計算しようにもできないことになります。
報酬が異なれば、保険料と年金給付の割合も変わってくるからです。
年金給付の一部が定額(基礎年金)ですから、報酬が低い人ほど支払った保険料対年金給付の割合は高くなります。

サラリーマンの年金の「所得再分配」機能

厚生年金加入者、言い換えればサラリーマンの年金は、対保険料割合という点で、低所得者の方が「お得」になります。
下の図で説明します。
サラリーマンの保険料年金比率
仮に、高所得者の報酬を1とし、保険料を1とし、老齢厚生年金の年金額を1とします。
この1は、報酬額と保険料額と年金額がイコールという意味ではありません。低所得者と比較するための基準として、すべてを1としています。
次に低所得者の報酬額を高所得者の2分の1とします。
保険料は報酬比例ですから、やはり高所得者の2分の1、老齢厚生年金も報酬比例の年金ですから、やはり高所得者の2分の1です。
しかし、両社ともに、定額年金の老齢基礎年金も支給され、この年金額は所得に関係なく同額ですから、図のようになり、低所得者の保険料年金比率は高くなります。
もちろん、低所得者の方が年金の全体額は低くなります。ただ、保険料との比較では高所得者に比べて高くなるということです。
言い換えれば、現役時代の所得格差は年金受給においては緩和されるということで、年金制度内に、年金受給者同士の「所得再分配」機能があるということでもあります。

第3号被保険者の存在

「サラリーマンの年金は夫婦単位で設計されている」ということが私の持論ですが、これは、「持論」というよりは「事実」なのですが、あまりこういうことを言う人(専門家や行政)がいないので「持論」ということにしています。

「サラリーマンの年金は夫婦単位で設計されている」ことの最も大きな根拠が、「第3号被保険者」です。
「第3号被保険者」は、第2号被保険者(厚生年金と共済年金加入者、共済は厚生年金に統合予定なので、以後単に厚生年金加入者といいます)の「被扶養配偶者」で、国民年金の保険料を支払うことなく老齢基礎年金」を受給する権利を得ます。
「第3号被保険者」は、正確には「国民年金の第3号被保険者」であって、国民年金加入者なのですが、実態を考えると、厚生年金加入者の「被扶養配偶者」と捉えるべきです。
これは、健康保険の「被扶養者」と類似しています。
健康保険の「被扶養者」は、保険料を払わずして基礎的な保険給付(保険診療)が受けられ、傷病手当金等の報酬比例の給付は受給できません。
「第3号被保険者」も、保険料を払わずして基礎的な年金給付(老齢基礎年金)が受けられ、報酬比例の老齢厚生年金は受給できません。
違うのは、第3号被保険者は配偶者に限定されることです。

サラリーマンの年金については、さらに特徴があり、それについては別項目で取り上げたいと思います。
また、私の著書「ケース別サラリーマン夫婦の年金がわかる本」で、詳しく説明しています。

ここでは、第3号被保険者の存在が、サラリーマンの年金の「損得勘定」をさらに難しくしていることに言及するに留めておきます。

つまり、配偶者が第3号被保険者であるかないか、または独身であるかによって、支払った保険料に対する年金給付の割合がかなり大きく変わってしまうということです。
厚生年金の保険料を支払ったある月に、配偶者が第3号被保険者であったとすれば、この保険料は、自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金、さらに配偶者の老齢基礎年金にも反映されることになるからです。

2015.3.10

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional