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平成28年度年金価額

平成28年度年金価額

今年度の年金額が公表されました。

年金額は据え置き、端数処理変更

年金額は、物価や賃金の変動に応じて毎年度変更されるのですが、平成28年度は据え置きとなりました。つまり、前年度価額と同額ということなのですが、端数処理の方法が変更されたため、一部1年単位の年金額となります。

年金額の端数処理はこれまで、100円単位で四捨五入されていましたが、平成27年10月に厚生年金と共済年金が統合された際に、端数処理については共済に合わせて1円単位の四捨五入に変わりました。
厚生年金と共済年金の統合は概ね共済側が厚生年金側に合わせる形で統合されたのですが、ごく一部は共済に合わせることとなり、端数処理方法は共済に合わせることになったのです。
したがって、今年度の年金額は、一部で1円単位の額となり、そこが前年度との相違点になります。

経済動向と年金額

今年度の年金額改定に用いられる指標は、物価変動率0.8%(0.8%の物価上昇)、名目手取り賃金変動率-0.2%です。

「名目手取り賃金変動率」という指標がわかりにくいと思います。
「名目手取り賃金変動率」とは、年金法(国民年金法、厚生年金保険法)に規定されている指標で、当該年度の4年前から2年前までの3年間の実質賃金変動率と可処分所得割合変化率を乗じたものです。
この説明は、厚生労働省の発表資料から引用したものですがやはりわかりにくいです。
私自身、完全に理解していないので、もっとわかりやすい言葉に置き換えて説明することができません(すみません)。

計算式で見てみましょう。

名目手取り賃金変動率(▲0.2%)
=実質賃金変動率(平成24~26年度の平均:▲0.8%)×物価変動率(平成27年の値:0.8%)×可処分所得割合変化率(平成25年度の変化率:▲0.2%)
=0.992×1.008×0.998=0.997936・・・≒0.998→ -0.2% ということになりますね。

要するに、物価変動率がプラスですが賃金変動率はマイナスで、このようなケースは、年金額改定の前提(物価も賃金も上昇、または下落)と異なる事態ということで、年金額は据え置きになります。

マクロ経済スライド

「マクロ経済スライド」の調整は、今年度は行われません。
「マクロ経済スライド」もすでに何回か説明しましたが、物価や賃金の上昇率よりも低い改定率で年金額を改定し、長期的に年金支給水準を引き下げていこうとする制度です。具体的には「本来の改定率」から「調整率」と呼ばれる率を差し引いて改定率を決めます。
この「調整率」を差し引くということを今年度は行いません。なぜ調整を行わないかというと、調整前の年金額の改定率がプラスの場合にのみ調整されることになっているからです。

ところで、今年度は調整されませんが、調整されないまでも今年度の「調整率」は算出されます。
厚生労働省の公表資料では次の計算式で算出されています。

スライド調整率(▲0.7%)
=公的年金被保険者数の変動率(平成24~26年度の平均:▲0.4%)×平均余命の伸び率(▲0.3%)
=0.996×0.997=0.993012・・・≒0.993→ -0.7% ということになりますね。

マクロ経済スライドの調整率は、制度発足直後は、概ね-0.9%と言われていました。
しかし、マクロ経済スライドはデフレ時には発動しないということで、制度発足後10年間実際には実施されてきませんでした。
マクロ経済スライドが初めて実施されたのは前年度(平成27年度)で、その間調整率に用いられる指標も変動し、前年度は実際には-0.9%だったのですが、-1%から-1.1%になるのではないかと見込まれていました。
今年度も概ね同様の見込みだったらしいのですが、実際には調整率は下がりました。
その理由としては、60歳以上の雇用が見込より進んだ(厚生年金の被保険者数が見込より増加)したからということです。

厚生年金(報酬比例年金)は-0.2%(のはず)

今年度の年金額は据え置きですが、実は報酬比例の厚生年金は0.2%引き下げられるようです。
というのは、厚生年金の年金額算出方法は、厚生年金加入期間の報酬の賃金変動率を加味した平均額に、一定の乗率を掛けて算出されます。
賃金変動率を加味する方法は、厚生年金加入期間の各報酬にその時々の再評価率を乗じて合計し、平均額を出します。
この「再評価率」は、毎年度書き換えられます。

厚生労働省の発表資料には記載されていないのですが、私が平成27年度と平成28年度の再評価率表を比較したところ、平成28年度の方が0.2%低くなっていました。
つまり、年金額算出の基礎となる「平均報酬」(平成14年度までは標準報酬月額≒月給、平成15年度以降は賞与も含む)が、再評価率によって変動しますから、再評価率が下がれば、年金額も下がることになります。

厚生年金の年金額は、計算式で算出されますが、計算式に年金額の変動率は現れず、「再評価率表」というブラックボックスに隠れてしまいます。
このあたり年金制度のもっとも複雑なところですね。

平成28の年金価額

老齢基礎年金

780,100円

加給年金額

本体:224,500円
配偶者特別加算:165,600円
配偶者加給合計:390,100円(昭和18.4.2以降生の場合)
子の加算3人目以降:74,800円

「加給年金本体」というのは、加給年金の対象者が子どもの場合は、この「本体」のみの支給で、子が2人までは、1人当たり224,500円になります。
子が3人目からは金額が低くなって、1人につき74,800円、加給年金の対象者が配偶者の場合は、「本体」に「配偶者特別加算」がプラスされて390,100円になるということです。

振替加算

振替加算とは、「加給年金」を財源に、昭和41年4月2日以前生の妻の老齢基礎年金に加算される「第3号被保険者制度損失補填」です。
第3号被保険者制度がスタートした昭和61年4月に20歳を超えていた女性は、老齢基礎年金の年金額が低くなってしまうため、それを補てんするという趣旨の加算です。
加算されるためには要件がありますが、それはこちらを参照ください。
加算額は、妻の生年月日に応じて次の通りです。

振替加算額

生年月日加算額生年月日加算額
T15.4.2〜224,500S22.4.2〜98,780
S2.4.2〜218,439S23.4.2〜92,719
S3.4.2〜212,602S24.4.2〜86,882
S4.4.2〜206,540S25.4.2〜80,820
S5.4.2〜200,479S26.4.2〜74,759
S6.4.2〜194,642S27.4.2〜68,922
S7.4.2〜188,580S28.4.2〜62,860
S8.4.2〜182,519S29.4.2〜56,799
S9.4.2〜176,682S30.4.2〜50,962
S10.4.2〜170,620S31.4.2〜44,900
S11.4.2〜164,559S32.4.2〜38,839
S12.4.2〜158,722S33.4.2〜33,002
S13.4.2〜152,660S34.4.2〜26,940
S14.4.2〜146,599S35.4.2〜20,879
S15.4.2〜140,762S36.4.2〜15,042
S16.4.2〜134,700S37.4.2〜15,042
S17.4.2〜128,639S38.4.2〜15,042
S18.4.2〜122,802S39.4.2〜15,042
S19.4.2〜116,740S40.4.2〜15,042
S20.4.2〜110,679S41.4.2〜0
S21.4.2〜104,842

中高齢寡婦加算

585,100円

遺族年金受給者(妻)の子どもが18歳に達すると、遺族基礎年金が受給できなくなります。
それを補うため、40歳以降に基礎年金の満額の4分の3の額が、本人が65歳になり自身の「老齢基礎年金」を受給するまで、「遺族厚生年金」に加算されます。

経過的寡婦加算

前項の「中高齢寡婦加算」は、遺族厚生年金受給者である妻が65歳になると自身の「老齢基礎年金」が支給されるため、受給できなくなります。
昭和41年4月1日以前生まれの女性は、第3号被保険者期間が30年に満たないため、「中高齢寡婦加算」よりも自身の「老齢基礎年金」の方が年金額が低くなってしまう可能性があります。
 そこで、遺族厚生年金受給者である妻の生年月日に応じて、その差額を補てんするのが「経過的寡婦加算」です(こちらを参照)。
経過的寡婦加算は生年月日に応じて次の額になります。

経過的寡婦加算額

生年月日加算額生年月日加算額
T15.4.2〜585,100S17.4.2〜273,060
S2.4.2〜555,096S18.4.2〜253,557
S3.4.2〜527,315S19.4.2〜234,055
S4.4.2〜501,518S20.4.2〜214,552
S5.4.2〜477,500S21.4.2〜195,050
S6.4.2〜455,083S22.4.2〜175,547
S7.4.2〜434,113S23.4.2〜156,045
S8.4.2〜414,453S24.4.2〜136,542
S9.4.2〜395,985S25.4.2〜117,040
S10.4.2〜378,603S26.4.2〜97,537
S11.4.2〜362,214S27.4.2〜78,035
S12.4.2〜346,736S28.4.2〜58,532
S13.4.2〜332,095S29.4.2〜39,030
S14.4.2〜318,224S30.4.2〜19,527
S15.4.2〜305,064S31.4.2〜0
S16.4.2〜292,562

今年度は、年金額据え置きですが、端数処理が100円単位から1円単位に変わったため振替加算額と経過的寡婦加算額が前年度より細かくなっています。

2016.4.14

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