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夫婦の年金を増やすには、妻の厚生年金を増やせ?

夫婦の年金を増やすには、妻の厚生年金を増やせ?

「夫婦の年金」というキーワードで、インターネットを検索してみたのですが、そこでは、私が主張するような「夫婦の年金」の構造についてではなく、単純に夫婦の年金合計額についてのサイトが多くヒットしました。

サラリーマンの夫を持つ妻の老齢厚生年金は実質有期年金

中には、「夫婦の年金を増やすには、妻の厚生年金を増やせ」ということを主張しているサイトもありました。
「夫婦の年金合計額」という意味ではその通りです。
しかし、妻の老齢厚生年金は、夫の死後、「遺族厚生年金」の吸収されてしまいます。
よって、その効果は夫の死後(※第⒊ステージ)には及ばないことになります。

※私の造語で、夫がサラリーマンで年上の夫婦を想定して、夫だけが年金を受給する期間を「第1ステージ」、夫婦が共に年金を受給する期間を「第2ステージ」、夫の死後を「第⒊ステージ」としています。

なお、この件についての説明は、「年金の部屋」の「サラリーマン夫婦の年金」を参照ください。

つまり、「夫婦の年金を増やすには、妻の厚生年金を増やせ」という主張には、私が言うところの「第⒊ステージ」が視野に入っていないということになります。

私に言わせれば、妻の老齢厚生年金とは、実質的には、夫が生きている間だけの「有期年金」です。
妻の老齢厚生年金は、形式的には、夫の死後も支給される終身年金ですが、その分「遺族厚生年金」から差し引かれてしまうからです。

サラリーマンの夫を持つ妻にとっては、自分が会社勤めをして稼がなければ、第3号被保険者になり、保険料を負担せずに基礎年金を受給する権利が与えられます。
つまり、保険料負担がなく「老齢基礎年金」が受給できるという選択肢もあるわけです。

そう考えると、サラリーマンの夫を持つ妻が厚生年金に加入することで負担する保険料は、実質的には「有期年金」にすぎない老齢厚生年金分のみにあてられることになります。

夫婦関係を無視して「個人」として考えれば、厚生年金の保険料は、終身年金である「老齢厚生年金と老齢基礎年金」にあてられます。

しかし、夫がサラリーマンである妻という条件を設定してみれば、「第3号被保険者」との比較になり、自身の老齢厚生年金は夫の死後、「遺族厚生年金」に吸収されるということを想定しなければなりません。

サラリーマンの夫を持つ妻の年金損得勘定

そう考えると、厚生年金の保険料に対する年金の「損得計算」が変わってきます。

厚生年金の保険料率は、現在(平成27年7月)174.74/1000、平成29年9月には、183/1000になって、その後は変わらないことになっています。
面倒ですから、180/1000で試算しましょう。

厚生年金の保険料率が180/1000なら、会社との折半負担ですから、本人負担は、90/1000です。

一方、厚生年金の年金額の算定においては、保険料の基礎となった給与と賞与に対して、5,481/1000を掛けます。
ただ、賃金の再評価というしくみがあって、単純に過去の給与や賞与が5.481/1000倍されるわけではありません。
現時点では、再評価によって、平成12年度以降の給与や賞与はやや低く評価されます。
よって、5.481/1000を5.4/1000ぐらいにして計算してみましょう。

年金は毎年受給できるので、保険料率(/1000を省略して)、90÷5.4で何年受給すれば、支払った保険料と同額になるかが算出できます。
約17年弱ですね。

ということは、妻が年金受給してから夫が亡くなるまでの期間(私が言うところの「第2ステージ」)が17年以上でなければ、元が取れないということです。

妻が65歳のときに夫が70歳だったとしたら、夫は87歳まで生きていてもらわなければならないということですね。
サラリーマンの妻の多くは負担した保険料の元が取れないのではないでしょうか。

この試算は、サラリーマンの妻だから成り立つ試算です。
サラリーマンの妻には、厚生年金に加入するという選択肢と「第3号被保険者」になるという選択肢がありますから、どちらにしても基礎年金は貰えます。
したがって、保険料との比較は厚生年金に限定され、保険料も年金も両方とも完全に報酬比例だからこそ成り立つ試算です。

サラリーマンの妻ではなく、「個人」として試算すれば、厚生年金の保険料に対して受給できる年金は、「基礎年金+厚生年金」で、定額年金と報酬比例年金の組み合わせとなり、保険料は完全な報酬比例ですが、年金給付は不完全な報酬比例になりますから、単純な割り算では試算できないのです。

「夫婦の年金」の重要性

サラリーマンの妻が会社員として働くということは、年金のためというよりは、その時々の生活費等の現実的な必要性からだと思います。
ですから、私はサラリーマンの妻が働くことに異議を唱えているわけではありません。

ただ、年金制度という枠組みに限定してみたときに、それは必ずしも有利ではないということを言いたいのです。
同時に、厚生年金という制度が夫婦単位で設計された制度であるという認識の重要性を問いたいのです。

2015.8.1

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