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国民年金基金の話その4

国民年金基金の話その4

国民年金基金の財政状況

私自身国民年金基金に加入しているので、その財政状況は他人ごとではありません。
厚生年金基金に関しては、AIJ事件もあり、報道量も比較的多く、さらに自分の顧問先が加入している基金の説明会に参加できる機会もありました。
よって、厚生年金基金については、かなりの情報を持っていました。

しかし、国民年金基金の財政に関しては報道も少なく、個人的には、比較的若い制度なので、さほどの財政難にはなっていないかもという希望的観測をしてしまった時期もありました。
それは甘い認識で、やはり、何年か前に国民年金基金の財政難がかなり深刻であることが小さく報道されたことがありました。
それでも世間的には話題になりません。

今、国民年金基金のホームページで確認すると、平成23年度の財政状況が最も悪く、責任準備金4.1兆円に対して資産額は2.7兆円弱、積立不足1.4兆円、積立不足率は約34%でした。
私が目にした報道は、この時期であったと思われます。

「責任準備金」とは、簡単に言えば、制度維持のために現在保有しているべき資産額ということです。
「積立不足」とは、現有資産額が責任準備金み満たない状態を言います。

その後、財政状況は徐々に好転し、平成25年度には、責任準備金約4.5兆円に対し、資産額は約3.6兆円、積立不足は約9兆円、積立不足率は約約20%というところまで回復しています。
平成26年度はまだ公表されていないようですが、さらに好転していると思われます。

この財政の好転は、やはりアベノミクス効果でしょう。
前にも言いましたが、株式市場の好調は、直接株式投資をしない人にも、こういった面で恩恵をもたらします。

話は逸れますが、中小企業退職金共済という制度も、リーマンショック後積立不足に陥ったのですが、今では積立不足は解消し、実際の運用益が予定運用益を超えた年度に基本退職金に上乗せする「付加退職金」がつくに至っています。
中小企業退職金共済の方が、平成14年度か15年度頃に早々と予定利率を1%に引き下げましたから、復活も早いのだと思います。

年金財政難の原因

現在、厚生年金基金に関しては、その財政が不健全な基金に対する解散や代行返上を促進する法律が施行され、9割近くの基金が解散か代行返上を迫られている条項です。
要するに、ほとんどの厚生年金基金が財政難に陥っています。
国民年金基金も前述のようにその例外ではありませんでした。

国の年金も財政難で、平成27年度には、初めて「マクロ経済スライド」という、長期間かけて年金の実質的価値を引き下げるルールが適用されるに至っています。

そもそも、年金財政が財政難に陥る原因はなんなのでしょうか?
一般的には「少子高齢化」が原因と認識されていると思います。
報道等では、保険料や掛金を負担する現役世代の人数と、給付を受ける高齢世代の人数の割合によって、「みこし型」、「騎馬戦型」、「肩車型」というような説明がされています。

大勢の現役世代が一人の高齢者を支えるのを「みこし型」といい、3人程度の現役世代が一人の高齢者を支えるのが「騎馬戦型」、一人の現役世代が一人の高齢者を支えるのが「肩車型」というわけです。
当然支え手が少ない方が、支え手にかかる負担は大きくなり、負担にも限度があるので、その結果財政が悪化します。

国の年金制度の財政は、「賦課方式」といって、今の現役世代の保険料収入を、今の高齢世代の年金給付費にあてる方式です。
したがって、ストレートに少子高齢化の影響を受けます。

しかし、企業年金等国の年金制度以外では、このような財政方式は取れません。
このような方式は、強制加入の国の制度でなければ成り立たないからです。

国の年金制度以外の年金制度では、「積立方式」という財政方式を取ります。
「積立方式」とは、言ってみれば、現役時代の自分が負担した保険料や掛金を、将来、高齢者となった自分の年金給付の財源にあてるという方式です。
したがって、「積立方式」では、少子高齢化の影響は受けないはずです。

しかし、実際には、厚生年金基金等の「積立方式」の年金制度も財政難に陥っています。
その原因は、運用収益の悪化です。
「確定給付型」の年金制度では、保険料や掛金を積み立てるだけでなく、その資産を運用して得た収益をプラスして年金給付額を決めます。
したがって、予定されていた運用益より、実際の運用益の方が低くなった場合には、財政難に陥るわけです。

このように、同じ財政難といっても、国の年金制度と企業年金ではその原因は異なるのです。

2015.7.21

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