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国民年金基金の話その3

国民年金基金の話その3

国民年金基金の損得勘定

国民年金基金の年金額と掛金の関係というか、ありていに言ってしまえば「損得勘定」ですが、確定年金の掛金と受給年金総額を比較してみればわかります。

例えば、40歳ちょうど(40歳0ヵ月)で年金月額5,000円で65歳支給の10年確定年金(Ⅱ型)に加入したと仮定します。
実際には、加入して最初の1口目は終身年金にしなければならず、2口目からいろいろと選べるのですが、10年確定年金の方が計算しやすいので。

年金月額5,000円を10年貰えるわけですから、受給総額は120月分で、60万円になります。
40歳ちょうどで加入した場合、掛金月額は2,040円。
基金の加入年齢は原則60歳までですから、40歳ちょうどで加入すれば、60歳まで20年(240月)掛金を納めることになります。
したがって、掛金総額は、2,040円×240月で、489,600円になります。
受給総額60万円と負担総額約49万円ですから、まあまあお得なわけです。

この差額分が、掛金の運用益ということになります。
しかし、加入期間20年間運用して、60歳から受給するまで5年間運用して、かつ、年金支給期間の10年間も資産が一気になくなるわけではないですから、やはり運用しているわけです。
それで、総運用益は約22,4%。
渋いといえば渋いのではないでしょうか。

とはいえ、銀行に預けていたら年利0.0何パーセントですから、銀行預金よりはずっと良いです。

終身年金の場合

終身年金(保証期間なし、以下同じ)では、その人の寿命によりますから、損得勘定は成り立ちにくいです。

試しに、試算してみましょう。
同じ年齢(40歳0ヵ月)で加入し、同じ年金月額の場合、終身年金なら掛金月額は、3,680円ですから、60歳までの20年間に総額883,200円払い込むことになります。
確定年金の試算で導き出した総運用益22.4%を上乗せしてみれば、約108万円となります。
この108万円を貰いきるには、月5,000円の年金ですから、約216月必要となります。
ということは、216÷12ヵ月で、終身年金では平均18年分の年金支給があるであろうという想定で掛金を設定していることがわかります。
65歳支給ですから、83歳まで生きるという想定です。

65歳の男性の平均余命(第20回生命表による)が18年ですから、年金額と掛金の設定は、65歳時の平均余命を前提に設定しているなと推測できます。
国民年金基金のホームページにはそのような記載は見当たらないので、あくまでも推測ですが、まあそんなに的外れではないでしょう。

いずれにしろ、ある人が83歳まで生きれば、運用益分はお得になるわけです。
では、掛金総額の元を取るには何歳まで生きればよいでしょうか?
掛金総額が約88万円ですから、88万円÷5千円で、約177ヵ月。
14年と9カ月ですから、65歳から14年9カ月で、79歳と9ヵ月で元が取れることになります。

終身年金は「保険」、確定年金は「貯蓄」?

この損得勘定では、掛金負担時期の節税効果は除いていますから、もう少し若く亡くなっても元は取れることになります。
ただ、掛金負担時期には節税効果がありますが、年金受給時には、課税されます。
国民年金基金の年金は、公的年金と合算して、120万円の公的年金控除が控除されます。
年金以外に収入がなければ、その額から基礎控除、奥さんを扶養していれば配偶者控除、医療保険や介護保険は生きている限り負担しますから社会保険控除もあり、課税対象額はさほど高くはならないと思います。
老後の収入のパターンは人によって異なるので一概には言えないものの、通常は、掛金負担時期の節税額が、年金受給時の課税額を大きく上回ると思います。

終身年金については、掛金の元を取る79歳〜80歳より長生きすればお得、そうでなければ損、その損得の大きさもその人の寿命で大きく異なることになります。
要するに「長生き保険」であって、保険性が強いと見ることができます。

これに対して、確定年金では、負担総額も受給総額も確定しているので、保険性よりも貯蓄性が強いといえるのではないでしょうか。

掛金の引上げ

さて、この国民年金基金ですが、平成14年度と15年度、そして直近では平成25年度と、計3回、掛金の引上げをしています。
掛金の引上げとは、別の言葉で言えば、予定利率の引下げです。
先ほどの試算では、年金額は掛金総額+運用益によって設定されていました。
つまり、運用益を低く見積もれば、同じ年金を得るための掛金は高く設定しなければなりません。

この辺は、以前説明したように、厚生年金基金や他の確定給付型の企業年金と同じ理屈です(「運用と企業年金」、参照)。
特に、国民年金基金は年金額に対して、いくらの掛金というように典型的な確定給付型の制度になっています。

ということは、厚生年金基金が財政危機に陥っていると同様のことが国民年金基金でも起こっているはずです。
つまりは、その財政危機に対する対応が、計3回の掛金引上げだったということです。
そうなると、国民年金基金の財政の健全性が気になるところですが、これは次回にしましょう。

2015.7.18

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