Quick Homepage Maker is easy, simple, pretty Website Building System

国民年金基金の話その1

国民年金基金の話その1

国民年金基金の相談

私たち社会保険労務士は、通常は、会社を顧客として活動しています。
そうすると、相談を受ける対象は経営者、場合によっては社員です。
両者とも、厚生年金加入者です。
したがって、国民年金基金に関する相談ごとはまずありません。

しかし、私は、社労士会の仕事で、2〜3ヵ月に1回程度の頻度で、電話相談の担当になります。
電話相談では、相手が会社員とか経営者には限りません。
つまり、その場においては国民年金基金の相談ごともあり得るわけです。

実際に、この数ヵ月間で2回ほど、国民年金基金の相談を受けました。
その相談内容が興味深いものでした。
両方とも「会社員になると国民年金を脱退しなければならない。それは困る。」という相談内容です。

国民年金基金は第1号被保険者だけが加入できる制度ですから、会社員になって厚生年金に加入してしまえば、第1号被保険者ではなくなり第2号被保険者になり、国民年金基金の加入可能要件を失います。
ですから、会社員になったら国民年金基金の脱退自体は避けられないのです。
しかし、客観的に見て、国民年金基金よりも厚生年金の方が、保険料の負担と将来の年金給付の割合で考えれば有利なはずです。
なのに、なぜ困るのか?

いくつか理由があると思います。

  1. その人が国民年金基金だけのことを考えて、厚生年金との比較検討ができていないこと。これは社会保険制度の広範な知識がないとやむを得ません。
  2. 国民年金基金の掛金が予定された年金額を受けるための掛金(例:月額3万円の年金を受給するためには、○歳で加入する場合は○○円の掛金になる)なので、途中脱退すると将来の年金受給額の予定が狂うこと。
  3. 以前同じことがあって、脱退し、再度加入したときに掛金が高くなっていたという経験から。(脱退して、再加入するまでの間に掛金の引上げがあった)

相談内容から推測して、だいたい上記3点の理由が混合して、「脱退したくない」と思うようです。

国民年金基金加入者とサラリーマン(厚生年金加入者)の社会保険の違い

しかし、会社員になって厚生年金に加入するということは、同時に健康保険にも加入することになります。
それまでは、国民健康保険に加入していたはずです。
国民健康保険は全額自己負担ということもあって、概ね会社員の健康保険より高負担です。
また、厚生年金の保険料には国民年金分も含まれています。
国民年金基金に加入しているということは、第1号被保険者として国民年金の保険料を支払い、なおかつ国民年金基金の掛金を支払っているということです。

会社員になることで、国民年金の保険料(40歳以上介護保険料含む)と国民年金基金の掛金、それに加えて国民健康保険の保険料の負担がなくなります。

会社員になると、代わりに健康保険料(40歳以上介護保険料含む)と厚生年金保険料を給料から天引きされます。
介護保険の負担があるとして、だいたい給料の15%程度の負担です。

保険料負担の比較では、健康保険料の厚生年金保険料も会社との折半負担ですから、おそらく保険料負担はぐっと低くなると思います。
それに対して、給付は、健康保険も国民健康保険も診療費の3割負担には変わりありませんが、健康保険には国民健康保険にはない「傷病手当金」があります。

厚生年金は、その保険料負担だけで2階建て年金分になります。
国民年金基金との比較では、単純には比較できませんが、国民年金基金の掛金と年金額の設定は、リーズナブル、いかえれば「渋い」ですから、おそらく、厚生年金の方が「割が良い」と思います。
「割が良い」とは単純に年金額が高いという意味ではなく、負担した保険料に対する年金額の割合が高いという意味です。

総合すれば、やはり会社員の方が有利と言えると思います。

つまり、国民年金基金を脱退して、厚生年金に適用されるということは、多少予定が狂ったとしても悪いことではないのです。

しかし、これらの相談で、情報を守る観点から具体的には言えませんが、「人の意識」というものの奥深さを認識しました。
国民年金基金に加入しているという状況が、一般論を超えた悩みにつながり、かつ国民年金基金の不利益に引きずられて、全体的な利益、不利益の判断が難しくなるんですね。

国民年金基金の話はもう少し続けたいと思います。

2015.7.15

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional