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国会議員の育休

国会議員の育休

あけましておめでとうございます。

去年、男性国会議員の育休取得が話題になりました。
賛否両論がありましたね。

育休取得を宣言した議員は、自民党の宮崎健介衆議院議員で、奥さんも自民党の金子恵美衆議院議員です。
もちろん奥さんの金子恵美衆議院議員も育休を取るとのことですが、話題は男性である宮崎健介衆議院議員の方のようです。
育休期間は奥さんは3ヵ月程度、宮崎議員は1〜2ヵ月とのことです。
育休にしては期間は短いです。

これが、なぜ話題になり、賛否両論があるかというと、ひとつは国会議員に育児休業という制度がなく、また、議会を欠席しても歳費が支払われるということ。
こちらは「批判」側の根拠です。
賛成側の根拠としては、国会議員だから育休を取れないのはおかしいということや、男性の育休取得促進が国策になっていることもあろうかと思われます。

会社員と国会議員の違い

我が国の育児休業制度は、会社員を対象としたものです。
その理由について、行政は何も語っていませんが、一応、会社員は会社(非法人の場合もあるので、正確には「事業主」ですが)に拘束されていますから、「休業」という制度を設けなければ正当に休むことができないからということでしょう。
では自営業者は?、というと、自営業者は自分の判断で業務時間に融通を付けることができること、そもそも、「育児休業」とは、拘束する側に拘束される側の休業の権利を認めさせるものですから、休業制度自体が成り立ちません。

国会議員も自営業者と同じようなものなのかと思いますが、自営業者が、もし育休を取るとなると、普通に考えれば、その間業務ができなくなって収入減に直結するでしょうけど、国会議員は歳費が減額されることはありません(批判根拠のひとつ)。

国会議員の場合は、そもそも会社員ほど勤務日数や勤務時間が拘束されていないので、国会議員としての職務を果たしながら育児も可能であるかもしれません。
実際に、批判側の根拠としては議員の職責を果たしながら育児は可能ということもあるようです。

国会議員の仕事は、国会議員としての職責(国会への出席等)以外に、所属している政党での仕事や議員個人としての仕事があると思いますが、それらをすべてこなすと大変多忙な毎日になるのではないかと思います。
そうすると、国会議員が育休を取るという場合に、誰に対して育休を取るということが曖昧です。自分を拘束する主体が複数あり、かつ抽象的だからです。
一応、一部は国会に対して、一部は所属政党に対して、一部は自分の支持層を中心とした有権者に対してということになると思いますが、宮崎議員の場合「育休宣言」をすることで、それらすべてに対して「育休」を認めてもらおうとしたと解釈できるのではないかと思います。

男性の育休取得促進

我が国の労働政策として、ここ数年男性の育休取得を促進に力を入れています。
ヨーロッパの先進諸国では、男性の育児参加が少子化改善に結びついているという統計があるようで、ようするに少子化対策の一環です。

それが日本でもそうなのかという疑問は置いておいて、政策の流れを見ていくと、近年、男性の育休取得に力点を置いています。
以前は、配偶者が育児可能な社員(通常男性社員)に対しては、会社は育児休業の申し出を拒むことが可能でしたが、平成21年の育児・介護休業法の改正により、この拒否要件が撤廃され、夫婦が共同で育児休業を取得する場合には、育児休業期間を2ヵ月延長可能とする「パパママ育休プラス」という制度を導入しました。
これによって、男性の育休取得が法律上は可能となりました。

次に、記憶に新しい、雇用保険の育児休業給付の支給率引上げが行われました。
平成26年度から、最初の6ヵ月間は育休給付率を休業前の賃金の50%から67%に引き上げたのです。
給付率引上げが、最初の「6ヵ月間」というのがミソで、7ヵ月目からは50%に戻ってしまいます。
よって、夫婦が6ヵ月ずつ育休を取得することで、1年間給付率67%を維持できるわけで、これは男性の育休取得に経済的インセンティブを与えたことになります。

このように、すくなくとも制度上は男性の育休取得の環境は整備されてきているわけで、残る課題は、「意識」です。

賛成する理由

男性の育休取得に際しては、あとは「意識」の問題で、「意識」とは、取得する本人だけでなく、与える側の会社(経営者や総務部長等)、取得しやすい環境つまり周囲の理解という意味で一般の社員も含みます。
つまり、相当広範囲の社会的コンセンサスが必要で、宮崎議員の「育休宣言」は、この「意識」の問題解決に大きな貢献をすると考えます。

「まず櫂から始めよ」という諺がありますが、それもあって、政府は男性公務員に対して育休取得を奨励しているようですが、男性公務員が育休をとっても大した話題にはなりません。
話題にならなければ、アナウンス効果も薄いわけで、今回の宮崎議員の「育休宣言」は、皮肉にも「賛否両論」が沸き上がることによって、アナウンス効果が期待できることになりました。
結果論になりますが、宮崎議員は、「育休宣言」をすることにより、「政治家」としては大きな仕事をしたといえるのではないかと思います。

以上の理由で、私としては、「国会議員の育休制度がある、ない」という制度論からではなく、宮崎議員の「育休宣言」に賛意を示したいと思います。

2016.1.1

追記

宮崎議員、不倫騒動で議員辞職。残念。
不倫というのは、当事者間の問題で、あまりとやかく言う気にはなりませんが、宮崎議員の場合「育休宣言」という人の意識に訴えることをしているので、やはり本人のイメージダウンは致命的でしょうね。

2016.2.13

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