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公的年金の財政方式

公的年金の財政方式

世代間扶養と賦課方式

年金制度は、現役世代が高齢世代を支えることにより成り立っているといわれます。
そのため、近年の少子高齢化が問題となります。
高齢化の進行度によって、最初は大勢の現役世代が一人のお年寄りを支える「おみこし型」、その後3人程度の現役世代が一人のお年寄りを支える「騎馬戦型」、もっと先に行くと一人の現役世代が一人のお年寄りを支える「肩車型」になると言われています。
現在は、年金受給者一人に対して、年金加入者は約2.4人程度(少し古い指標ですが平成22年度時点)で、まだ「肩車型」まで入っていませんが、「騎馬戦型」の支え手が一人ギブアップしそうな状況といえます。

この「世代間扶養」という言葉は、一種の「理念」を表現した言葉であって、財政方式としては「賦課方式」といいます。

「賦課方式」とは、年金加入者(現役世代)の保険料収入を受給者の給付財源にあてるというものです。
「賦課方式」は、年金加入者(現役世代)の保険料収入を受給者の給付財源にするわけですから、保険料を負担する年金加入者の人数が減れば、財源も減ってしまいます。
そうすると、年金受給者の年金水準を下げざるを得なければならなくなってしまいます。
逆に、保険料を負担する年金加入者の人数が減ったのに年金受給者の年金水準を変えなければ、加入者一人一人から取る保険料を上げなければなりません。

ということで、年金財政が少子高齢化の進行によって不安視されるのは、その財政方式が「賦課方式」であるからだということができます。

積立方式

「積立方式」とは、現役時代に自分が支払った保険料や掛金によって、年金財源を賄う方式です。「賦課方式」は、強制加入の国の年金制度だからこそできる方式であって、厚生年金基金や企業年金等の民間の年金制度では「積立方式」を採用しています。

「積立方式」は、現役世代の自分が高齢になった自分を支えるというしくみですから、少子高齢化は関係ありません。それでも、近年、厚生年金基金の解散が相次ぐなど、「積立方式」なのに民間の年金制度の財政は悪化しています。
その理由は、「予定利率」の実際の運用益の食い違いによります。

「積立方式」では、掛金を徴収してから年金を支払うまでに相当な期間を経ます。当然、その間、資金が溜まるわけですが、その資金を遊ばせておくわけにはいきませんから、運用した収益を資金に上乗せして、年金原資を作ります。
したがって、掛金は、運用収益を上乗せして溜まるであろう年金原資から逆算して、その額が決まります。
そうすると、仮に運用収益率を5%として掛金を集めていたのに、実際の運用収益が5%を下回るようになったとすると、将来必要となる年金原資が不足することになります。

つまり、企業年金等の「積立方式」の年金制度の財源問題の原因は、少子高齢化ではなく、「運用環境の悪化」ということになります。

公的年金の財政難も企業年金等の財政難もほぼ時期を同じくして問題になっていますから、紛らわしいのですが、財政難に至るプロセスは全然違うということです。

責任準備金

「積立方式」とは、現役時代に自分が支払った保険料や掛金によって、年金財源を賄う方式ですが、個人ごとに財源を管理しているわけではありません。
これは、公的年金の財政管理も同様ですが、制度全体として管理しています。
ですから、ある人の年金資金は運用が上手く行かなかったということではなく、運用が上手く行かなければ、その制度全体の財源問題になります。

そこで、制度全体として財政の健全性をチェックできる指標が必要となります。
その指標が「責任準備金」と呼ばれる指標で、「その制度が継続するために現在持っていなければならない資金」を言います。
現時点の積立金が「責任準備金」以上であれば、その制度は健全ですが、不足していれば、何らかの方法で不足分を埋め合わせていかなければなりません。

ここで、公的年金の財政の話に戻ると、公的年金は「賦課方式」なので、「責任準備金」という指標を用いません。
「賦課方式」とは、そもそも、ある年度に現役世代が支払った保険料を、その年度の年金支給に使ってしまう方式ですから、理論的には「積立金」は残りません。しかし、実際には公的年金にはかなり巨額(平成26年度末時点で、国年、厚年、共済すべて含めて時価ベースで200兆円程度)の積立金があります。
これは、公的年金が最初は「積立方式」としてスタートした名残なのですが、問題は年金財政の健全性を図る指標である「責任準備金」という指標というか概念がないことだと思います。

2016.4.19

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