サラリーマンの妻は老齢基礎年金を増やせ
サラリーマンの妻は老齢基礎年金を増やせ
妻の老齢厚生年金は夫の死後は無意味に
「夫婦の年金」という視点に立つと、夫がサラリーマン(つまり、老齢厚生年金が受給できる)である妻は、自分の老齢基礎年金を増やす方が合理的と思います。
すでに述べているように、妻の老齢厚生年金は夫の死後、遺族厚生年金に吸収されてしまい、実質的には「有期年金」のようなものだからです。
妻が会社勤めをすれば、妻自身も老齢厚生年金を受給することができます。
結果的に、夫婦健在期で夫婦が共に年金を受給する期間(私が言うところの「第2ステージ」)の、夫婦合計年金額は高くなります。
しかし、夫の死後(私が言うところの「第⒊ステージ」)は事情が変わります。
夫の死後、まず、妻自身の老齢厚生年金が優先支給され、「遺族厚生年金」は差額支給になってしまいます。
結局のところ、夫の死後妻が受給する年金は、第3号被保険者のそれと変わらないのです。
むしろ、夫の所得がさほど高くない共稼ぎ夫婦と、夫の所得が高く、妻は専業主婦という夫婦の方が、夫死後の妻の受給年金額は高くなります。
第⒊ステージは夫の老齢厚生年金の額に左右されるのです。
例を挙げてみましょう。
【夫死後の妻の年金:老齢基礎年金は共通支給として2階部分の比較】
①夫の老齢厚生年金:120万円、妻の老齢厚生年金:50万円 の夫婦の場合
妻自身の老齢厚生年金50万円+遺族厚生年金40万円(本来額90万円-妻自身の老齢厚生年金分の支給停止50万円)=90万円
②夫の老齢厚生年金:120万円、妻の老齢厚生年金:0万円 の夫婦の場合
遺族厚生年金90万円
③夫の老齢厚生年金:160万円、妻の老齢厚生年金:0万円 の夫婦の場合
遺族厚生年金120万円
どうでしょうか?
事例の①と②は、夫の老齢厚生年金が同額で、妻に老齢厚生年金があるかないかの違いですが、2階部分は年金の構成が異なるものの同額です。
サラリーマンを夫に持つ妻の老齢厚生年金が遺族厚生年金に吸収されてしまい、妻に老齢厚生年金があったとしても、結局は夫の老齢厚生年金によって決まる「遺族厚生年金」の額に収まってしまいます。
むしろ、夫の老齢厚生年金が高い方が、妻に老齢厚生年金がなくても夫死後の妻の年金額が高くなるという事例が③です。
老齢基礎年金は一生もの
夫の死後の妻の年金は、基本「老齢基礎年金+遺族厚生年金」という2階建てになります。
妻自身に老齢厚生年金がある場合は、2階部分が、妻自身の老齢厚生年金と遺族厚生年金(自身の老齢厚生年金との差額)というように2分割されますが、結局のところ、合計額は「遺族厚生年金」の額になります。
妻自身の老齢厚生年金の方が夫の老齢厚生年金より高ければ、今度は遺族厚生年金は不支給になります。
しかし、1階部分である老齢基礎年金は遺族厚生年金とぼ調整はありません。
したがって、サラリーマンを夫に持つ妻にとっては、老齢基礎年金は「一生もの」であり、老齢厚生年金よりも老齢基礎年金を増やす努力をした方が合理的ということができます。
2015.9.13