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「体系」という捉え方

「体系」という捉え方

前回述べた「横断」という考え方の発展形が「体系」という捉え方になるかと思います。

前回述べたように、ひとつの事象に複数の法律や制度、さらには会社の規定等も関わってきます。
これをもう少し大きな視野で捉えると「体系」になるのだと思います。

私は、「企業の育児支援制度」というテーマで、ある専門誌に寄稿したことがありますが、この時に使用した言葉が「体系」です。

このテーマでは、まず第一に育児・介護休業法が関わってきますが、実務的により重要なことは、産前産後休業(労基法)時の「出産手当金」、「育児休業給付」といった社会保険給付です。
これらの社会保険給付があるので、会社は休業期間に賃金を支払う必要はなく、それを就業規則に定めておく必要があります。
「出産手当金」は健康保険の給付、「育児休業給付」は雇用保険の給付です。
さらに、産休、育休期間の社会保険料免除制度や、復職後短時間勤務(これは育介休業法で規定)によって賃金が下がっても年金計算は下がらない賃金に基づくという「養育特例」という制度もあります。

時系列を追うと、まず女性社員が妊娠すると、労基法の妊産婦の就業制限、業務軽減配慮義務があり、産前・産後休業と続きます。
出産してからは、育児・介護休業法による育児休業で、男性も対象(女性は産後休業後)となります。

産休、育休期間は健康保険の出産手当金、雇用保険の育児休業給付、それに社会保険料免除制度があります。

子が3歳になるまでは、育児・介護休業法により、短時間勤務措置等が義務付けられ、社員が職場復帰後に実際に短時間勤務制度を利用すると、賃金が下がることが普通なので、社会保険の休業終了後の標準報酬月額の特例改定の手続をし、同時に、厚生年金の年金額計算の優遇措置である「養育特例」の手続があります。

その他、出産や育児を理由とした当該社員に対する、解雇を含む不利益な取り扱いは、育児・介護休業法と男女雇用機会均等法により、禁止されています。

大変大ざっぱではありますが、「企業の育児支援制度」を体系的に捉えると概ね以上のようになります。

この「体系」は、①法令(育児・介護休業法や労働基準法等)が、企業が社員に産休や育休を取らせることを義務付け、②休業者の経済支援は社会保険が担当、そして、③実際に社員に休業させるのは企業というトライアングル構造になっています。
もちろん、企業は就業規則等の社内規程を整える必要がありますし、上記の時系列の進行に伴って、多くの手続業務が発生します。

この分野は、助成金や次世代法等も含めるとさらに大きくなるのですが、ここではこのへんで切り上げるとして、要するに、社労士の業務範囲には、このように「体系」的に捉えるべき分野が多く存在しているということが言いたかったのです。

「体系」的に捉える分野を多く持っている社労士ほど、実務に強くなるのではないでしょうか。

2015.10.4

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